新任教育の時間と進め方|20時間の組み立てと短縮の考え方
新しく採用した警備員に行う新任教育について、20時間以上という時間の考え方、カリキュラムの組み立て方、経験者や資格者の短縮・免除の扱い、記録の残し方までを教育担当者向けに整理します。
この記事のポイント
- 新任教育は総時間20時間以上が基本で、基本教育と業務別教育の中身を自社の業務に合わせて組み立てる
- 経験者や資格者は時間の短縮や免除の対象になる場合があるため、根拠となる書類を採用時に確認して残す
- 採用のたびに慌てないよう、標準カリキュラムと講師・会場・教材を先に決めておく
新しい警備員を採用したら、現場に出てもらう前に新任教育を行う必要があります。採用が続く時期には、教育担当者が「今月は何人分の新任教育を組めばいいのか」「経験者の場合は何時間でいいのか」と頭を悩ませることも多いのではないでしょうか。
この記事では、教育担当者や営業所の責任者の方に向けて、新任教育の時間の考え方、カリキュラムの組み立て方、短縮・免除の扱い、記録の残し方を整理します。教育の時間や内容の細かな要件は法令で定められており、改正されることもあります。実際の運用にあたっては、最新の法令や所轄の警察署・公安委員会の運用をご確認ください。
新任教育の時間は「総時間20時間以上」
新任教育は、新たに警備業務に従事させようとする警備員に対して行う教育です。時間は20時間以上とされています。
以前は、基本教育と業務別教育のそれぞれに下限の時間が定められていましたが、令和元年の改正により、区分ごとの下限ではなく総時間での規制に改められました。これにより、自社の業務内容や採用した人の経験に合わせて、配分を柔軟に組み立てやすくなっています。
とはいえ、「基本教育を極端に短くしてよい」という意味ではありません。警備業法や関係法令、警備員としての心構え、事故が起きたときの対応など、どの業務に就く警備員にも必要な内容は、しっかり時間を取って教える必要があります。
カリキュラムの組み立て方
20時間をどう組み立てるかは、会社の業務内容によって変わります。一般的には、次のような流れで考えると整理しやすくなります。
1. 基本教育で押さえる内容を決める
どの業務区分の警備員にも共通して必要な内容です。
- 警備業務の基本原則と警備員としての心構え
- 警備業法やその他の関係法令の概要
- 事故の発生時における警察機関への連絡などの対応
- 護身用具の扱いや応急措置の基本
- 会社の就業ルールや連絡の方法
2. 業務別教育で自社の業務に合わせる
実際に従事する業務区分に応じた内容です。交通誘導警備が中心の会社であれば、誘導の合図や旗・誘導灯の扱い、道路上での立ち位置、無線や連絡の取り方など、現場で必要になる実技を中心に組み立てます。施設警備が中心であれば、巡回や出入管理、防災設備の扱いなどが中心になります。
3. 講義と実技のバランスを取る
座学だけで20時間を過ごすと、受講者の集中が続かず、現場で使える知識になりにくくなります。講義で理解した内容を、実技やロールプレイで確認する構成にすると、定着しやすくなります。
4. 理解度を確認して終える
教育の最後には、受講者が内容を理解できたかを確認する時間を取りましょう。簡単な確認テストや、実技を一人ずつ行ってもらう形でもかまいません。理解が不十分な点があれば、その場で補足したり、現場に出る前に先輩隊員と同じ現場に配置して実地で確認したりといったフォローにつなげられます。
確認の結果は、教育の記録とあわせて残しておくと、後から「どこでつまずきやすいか」を振り返る材料になります。複数の新人に共通してつまずく項目があれば、カリキュラムの時間配分や教え方を見直すきっかけになります。新任教育は一度作れば終わりではなく、採用のたびに少しずつ改善していくものと考えておくとよいでしょう。
組み立ての例を表にすると、次のようなイメージです(時間配分は一例であり、自社の業務に合わせて調整してください)。
| ブロック | 主な内容 | 形式 |
|---|---|---|
| 1日目 午前 | 警備業務の基本、心構え、関係法令の概要 | 講義 |
| 1日目 午後 | 事故・緊急時の対応、応急措置 | 講義・実技 |
| 2日目 | 担当する業務区分の基本動作 | 実技中心 |
| 3日目 | 現場を想定したロールプレイ、振り返り | 実技・確認 |
経験者・資格者の短縮と免除
警察官としての勤務経験がある人、同種の警備業務に従事した経験がある人、検定に合格している人などは、新任教育の時間が短縮されたり、免除されたりする場合があります。
ここで大切なのは、短縮や免除の「根拠を残す」ことです。
- 前職での警備業務の経験であれば、その期間や業務区分を確認できる書類
- 検定の合格者であれば、合格証明書などの写し
- 警察官経験者であれば、その経歴を確認できる書類
採用面接の段階で経歴を確認し、該当しそうな場合は書類を提出してもらう流れにしておくと、後から慌てずに済みます。短縮・免除の条件や時間は細かく定められていますので、判断に迷う場合は所轄の警察署に確認しましょう。
採用のたびに慌てないための準備
新任教育は、採用が決まってから準備を始めると、日程調整や講師の手配に追われがちです。次のような準備を先にしておくと、採用のたびの負担を減らせます。
- 標準カリキュラムを作っておく: 基本教育・業務別教育の内容と時間配分を、業務区分ごとに決めておく
- 講師を複数決めておく: 指導教育責任者だけに頼らず、教育を担当できる人を育てておく
- 教材を整えておく: テキストや動画、実技で使う資機材をまとめておく
- 定例の開催日を決める: 毎月の決まった日に新任教育を開く形にすると、採用側も入社日を合わせやすい
採用人数が多い時期には、複数の新人をまとめて教育することで、講師の負担を抑えられます。
記録の残し方
新任教育を行ったら、教育実施簿に記録を残し、警備員名簿の教育の欄にも反映します。記録には、実施日時、場所、教育の内容と時間数、受講者、教育を行った者、使用した教材などを残しておくと、後から第三者が見ても実施内容を追うことができます。
短縮や免除を適用した場合は、その根拠となった書類もあわせて保管しておきましょう。記録の具体的な残し方は警備員教育の記録、どこまで残せば十分かで、名簿との関係は警備員名簿の記載事項と作り方で詳しく解説しています。
よくある質問
新任教育を終える前に現場に出してもよいですか
新任教育は、警備業務に従事させる前に行うことを前提とした教育です。教育を終えていない人を現場に出すことは避け、教育を終えてから配置するのが基本です。詳しくは最新の法令や所轄の警察署・公安委員会の運用をご確認ください。
20時間を1日にまとめて行ってもよいですか
時間の総量だけでなく、受講者が内容を理解できることが大切です。1日に長時間を詰め込むと集中が続かず、教育の質が下がります。2〜3日程度に分けて、講義と実技を組み合わせる形が現実的です。
他社で警備員をしていた人も新任教育が必要ですか
同種の警備業務に従事した経験がある場合、時間の短縮などの対象になることがあります。ただし、経験の期間や業務区分などの条件がありますので、経歴を確認できる書類をもとに判断し、根拠を記録に残してください。
まとめ
新任教育は総時間20時間以上が基本で、令和元年の改正により区分ごとの下限ではなく総時間での規制になりました。その分、自社の業務に合わせてカリキュラムを組み立てる工夫が求められます。経験者や資格者の短縮・免除は、根拠となる書類を採用時に確認して残すことが大切です。標準カリキュラムと講師・教材を先に決めておけば、採用のたびに慌てずに済みます。
警備サインでは、教育計画の作成から教育実施簿の記録、法定教育時間の集計までを隊員ごとに管理できます。新任教育の進み具合を隊員ごとに確認できるため、配置前の確認もしやすくなります。詳しくは機能紹介をご覧いただくか、資料請求・お問い合わせからご相談ください。
